初めて知る政治のお金:税金はどう決まり、どう使われる?
初めて選挙権を得て、社会の仕組みに関心を持ち始めた方もいらっしゃるかもしれません。政治と聞くと難しく感じたり、自分には直接関係ないことのように思えたりする方もいるかもしれません。しかし、政治は私たちの生活に深く関わっています。特に、「税金」と「国の予算」は、皆さんの日々の生活や将来に大きな影響を与えている政治の具体的な現れの一つです。
この文章では、私たちが納める税金がどのように集められ、誰がどのように使い道を決め、それが私たちの生活にどう使われているのかを分かりやすく説明します。政治とお金の話を通じて、選挙や政治参加がなぜ大切なのかについて、理解を深めるための一助となれば幸いです。
そもそも税金とは何ですか
私たちは、国や地方公共団体が提供する様々なサービスを受けて生活しています。例えば、学校教育、医療、道路や橋といったインフラの整備、警察や消防、福祉サービスなどが挙げられます。これらのサービスを提供するためには、莫大なお金が必要です。この費用を、国民や企業などが収益や消費に応じて分担する形で集めているのが「税金」です。
税金は、特定の個人ではなく、社会全体の利益のために使われる「会費」のようなものと考えるとイメージしやすいかもしれません。みんなでお金を出し合い、みんなが安心して暮らせる社会を作るための費用を賄っているのです。
税金はどのように集められるのでしょうか
税金には、所得税、消費税、法人税など、様々な種類があります。
- 所得税: 働いて得た収入や、事業で得た利益にかかる税金です。収入が多いほど税率が高くなる「累進課税」という仕組みが採用されています。
- 消費税: 私たちが商品を購入したりサービスを受けたりする際に、その価格に対してかかる税金です。買い物をすれば誰もが負担する税金です。
- 法人税: 企業が事業活動によって得た利益にかかる税金です。
その他にも、相続税、贈与税、固定資産税など、様々な税金があり、それぞれ異なるルールに基づいて集められています。これらの税金は、国や地方公共団体(都道府県や市区町村など)に納められ、それぞれの財源となります。
集められた税金は誰が、どうやって使い道を決めますか
集められた税金は、すぐに何かに使われるわけではありません。使い道は、私たちの代表者である「政治家」によって決められます。具体的には、国であれば国会(衆議院と参議院)、地方であれば地方議会が、集められた税金をどのように使うか、つまり「予算」を審議し、決定します。
この予算決定のプロセスは、非常に重要です。
- 政府が予算案を作成: まず、内閣(国であれば政府)が、国の収入(主に税金)をどのように使うか、その計画である「予算案」を作成します。
- 国会での審議・承認: 作成された予算案は、国会に提出されます。国会議員は、この予算案が国民にとって本当に必要で適切な使い道であるかを慎重に審議します。議論や修正を経て、最終的に国会で予算案が承認されることで、税金の使い道が正式に決定します。
- 予算の執行: 承認された予算に基づいて、政府は実際に税金を使って様々な政策を実行していきます。
このように、税金の使い道は、私たちが選挙を通じて選んだ政治家が集まる国会や地方議会での議論によって決められているのです。どの分野(教育、医療、環境など)にどれだけのお金を使うか、どのような政策を実行するかは、選挙で示された国民の意思や、議員たちの考えが反映される場とも言えます。
税金は具体的に何に使われていますか
決定された予算に基づいて、税金は私たちの生活を支える様々な目的のために使われています。身近な例をいくつかご紹介します。
- 教育: 小中学校の運営費、教科書の無償配布、大学への支援、奨学金制度など。皆さんが受けてきた教育も、税金によって支えられています。
- 医療・福祉: 健康保険制度の運営、病院への助成、高齢者や障害者への支援、年金制度など。私たちが病気になったり高齢になったりしたときに、安心してサービスを受けられるのは税金があるからです。
- 公共事業: 道路、橋、空港、港湾、鉄道などの交通インフラの整備、河川の整備や治水対策など。私たちの移動や物流を支え、災害から身を守るためにも税金は使われます。
- 防衛・外交: 国の安全を守るための費用や、国際社会での日本の役割を果たすための活動費用など。
- 科学技術・文化: 研究開発への投資、文化財の保護、芸術活動の支援など。
これらはほんの一例であり、税金は私たちの社会生活のあらゆる側面に深く関わっています。
私たちの生活と政治参加の重要性
ここまで見てきたように、私たちが納めた税金は、政治家によってその使い道が決められ、私たちの生活の様々なサービスやインフラを支えています。教育の質、医療の体制、街の安全性や利便性など、私たちの生活の質は、税金がどのように使われるかによって大きく変わるのです。
そして、税金の使い道を決定する政治家を選ぶのが「選挙」です。私たちがどの候補者や政党に投票するかによって、税金をどのように使いたいと考えている代表者を選ぶことになります。自分の納めた、あるいは将来納めることになる税金が、どのように使われるべきかに関心を持つことは、自分自身の生活や社会全体について考えることと同義と言えるでしょう。
選挙は、税金の使い道を含む国の進むべき方向性について、私たちの意思を反映させる最も基本的で重要な機会です。政治は難しいと感じるかもしれませんが、このように税金という身近な視点から政治との繋がりを理解することで、政治参加への第一歩を踏み出すきっかけになることを願っています。
これからさらに政治や税金について知りたいと思ったら、政府や地方公共団体のウェブサイトで公開されている予算の情報や、様々な団体が発行している資料などを調べてみるのも良いでしょう。少しずつでも政治に関心を持ち、理解を深めることが、より良い社会を築くことにつながるはずです。