当選した議員や首長は具体的に何をするの? 彼らの役割と仕事内容を解説
はじめに
初めての選挙、誰に投票するか考える時、「この人が当選したら、一体何をするんだろう?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。選挙で選ばれた「政治家」と呼ばれる人々は、私たちの社会をより良くするために様々な仕事をしています。
この記事では、当選した政治家、特に議員や首長が具体的にどのような役割を担い、私たちの暮らしにどう関わっているのかを分かりやすく解説します。この記事を読むことで、政治家の仕事への理解が深まり、選挙で誰を選ぶか考える上での参考になるでしょう。
政治家とは? 選挙で選ばれる人たち
まず、「政治家」とはどのような人たちなのでしょうか。簡単に言うと、選挙によって国民や地域住民から選ばれ、私たちの代表として政治を行う人たちのことです。国会で働く「国会議員」や、都道府県・市区町村の議会で働く「地方議員」、そして国のトップである「総理大臣」や、都道府県のトップである「知事」、市区町村のトップである「市長」や「区長」といった「首長」などがいます。
- 【用語解説】政治家(せいじか) 選挙で選ばれ、私たちの代表として政治を行う人たちの総称です。
- 【用語解説】議員(ぎいん) 国会や地方議会を構成し、法律や条例を作ったり、行政の仕事をチェックしたりする人です。
- 【用語解説】首長(しゅちょう) 国(総理大臣)や都道府県(知事)、市区町村(市長、区長など)といった行政のトップとして、政策を実行する責任者です。
議員の具体的な仕事内容
議員には、国会議員と地方議員がいますが、基本的な仕事は似ています。私たちの代表として、国民や地域住民の意見や要望を政治に反映させる役割を担っています。
1. 法律や条例を作る
最も重要な仕事の一つです。国会議員は国の法律を、地方議員はそれぞれの地域独自の条例を作ったり改正したりします。
- 【用語解説】法律(ほうりつ) 国会で作られる、国全体で守らなければならないルールのことです。
- 【用語解説】条例(じょうれい) 地方議会で作られる、特定の都道府県や市区町村の中でだけ通用するルールのことです。地域の事情に合わせて作られます。
新しい法律や条例が必要か、既存のものをどう変えるべきかを議論し、多数決で決定します。例えば、環境を守るためのルールや、子育て支援を充実させるためのルールなどがこれにあたります。
2. 国や自治体のお金の使い道(予算)を決める
国や自治体は、税金などによって集まったお金を、様々な公共サービスや事業のために使います。その使い道を決めるのが予算です。議員は、この予算がどのように使われるべきかを議論し、適切に使われているかをチェックします。
- 【用語解説】予算(よさん) 国や自治体が、これから一年間にどれだけのお金を集めて、それを何に、どれだけ使うかを定めた計画のことです。
私たちの税金が、道路の整備、学校の運営、医療や福祉、災害対策などにどのように配分されるかを審議し、決定に関わります。
3. 行政の仕事をチェックする
国や自治体の役所(行政)が、法律や条例、予算に基づいて適切に仕事をしているかを監視し、問題があれば正すよう求めます。
- 【用語解説】行政(ぎょうせい) 国の政府や、都道府県、市区町村の役所など、法律や予算に基づいて具体的な公共サービスを提供したり、政策を実行したりする組織のことです。
例えば、公共工事が計画通りに進んでいるか、住民サービスが適切に行われているかなどを調べ、必要に応じて担当者に質問したり、改善を求めたりします。
4. 国民・住民の声を聞く
地域を回ったり、集会を開いたりして、国民や地域住民の意見や要望を聞きます。受けた要望を議会に届け、政治に反映させる努力をします。また、陳情や請願といった形で、住民の皆さんからの要望を議会に提出する手助けをすることもあります。
- 【用語解説】陳情(ちんじょう) 国や地方公共団体に対して、具体的な要望や意見を述べることです。誰でも行うことができます。
- 【用語解説】請願(せいがん) 陳情と同様に要望を述べるものですが、議会で審査してもらうためには議員の紹介が必要です。紹介議員がいれば、議会として採択するかどうかを議論します。
首長(総理大臣、知事、市長など)の具体的な仕事内容
首長は、国や自治体の行政組織のトップとして、具体的な政策を実行する責任を負います。
1. 政策の計画と実行
選挙で訴えた公約に基づき、具体的な政策を計画し、実現に向けて行政組織を指揮します。例えば、新しい学校を建てる計画を進めたり、高齢者向けのサービスを拡充したりするなどです。
2. 予算案の作成
議員が予算を審議・決定するのに対し、首長は予算案を作成し、議会に提案します。どのような事業にどれだけのお金を使うべきか、その方向性を決定する重要な仕事です。
3. 行政組織の運営
自分たちの組織(国の省庁や自治体の部署)をまとめ、職員を指揮して、様々な行政サービスが円滑に行われるように責任を持ちます。
4. 地域や国の代表として
国内外の会議に出席したり、他の地域や国との交流を図ったりするなど、自分たちの地域や国を代表して活動します。例えば、外国の要人と会談したり、他の自治体と連携して地域の課題に取り組んだりします。
政治家の仕事は私たちの生活とどうつながっているのか
政治家が行うこれらの仕事は、すべて私たちの暮らしに直接的、あるいは間接的に影響を与えています。例えば、
- 法律が変われば、私たちの働き方や生活のルールが変わるかもしれません。
- 予算の使い道が決まれば、地域の公共サービス(学校、病院、図書館など)の質や数が変わる可能性があります。
- 首長が進める政策によって、子育て支援が手厚くなったり、地域の産業が活性化したりすることもあります。
このように、政治家の仕事は、私たちの「当たり前の日常」を形作る大切な要素なのです。
政治家の活動を知るには
選挙で誰を選ぶか考える際に、候補者や政党が当選したらどのような仕事をするのか、過去にどのような活動をしてきたのかを知ることはとても参考になります。
- 選挙公報や政党のウェブサイト、SNSなど:候補者や政党がどのような考えを持ち、何をしたいと考えているかを知ることができます。
- 議会のウェブサイト:会議の記録(議事録)や、どのような議案が話し合われ、どのように決められたかなどが公開されている場合があります。
- ニュースや新聞:政治家の活動や発言などが報道されています。ただし、様々な視点からの情報を得ることが大切です。
まとめ:政治家の仕事を知って、選挙をもっと身近に
選挙で選ばれる議員や首長は、法律や予算の決定、政策の実行、行政のチェックなど、私たちの社会や暮らしを支える様々な重要な仕事をしています。彼らの活動を知ることは、私たちがどのような社会で生きていきたいのかを考え、その実現を託す代表を選ぶ上で、非常に役立ちます。
初めての選挙では、ぜひ候補者や政党がどのような「仕事」をしようとしているのかにも注目してみてください。政治家の仕事への理解を深めることが、政治をより身近に感じ、積極的に政治参加するための一歩となるでしょう。