政治家ってどんな人? どうやったらなれる? 仕事内容とキャリアを解説
初めて選挙権を得て、政治について考え始めた時、政治家という存在が少し遠く感じられるかもしれません。テレビのニュースで見かけたり、選挙ポスターで顔を見たりはするけれど、「一体どんな人がなれるの?」「普段どんな仕事をしているの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
政治家は、私たちの暮らしや社会の未来を左右する重要な意思決定を担う、私たちの「代表」です。特別な世界の人というイメージがあるかもしれませんが、実は多様なバックグラウンドを持つ人々が、様々な道のりを経て政治家になっています。
この記事では、政治家とはどのような存在なのか、どうすれば政治家になれるのか、そして普段どのような仕事をしているのかについて、政治や選挙に関する知識が全くない方にも分かりやすく解説します。政治家をより身近に感じ、政治への理解を深めるための一歩として、ぜひお読みいただければ幸いです。
政治家とは?私たちの「代表」としての役割
政治家とは、国民や住民の選挙によって選ばれ、国や地方自治体の政治を担う人々の総称です。私たちの代わりに物事を決定し、社会をより良くするための活動を行います。
政治家にはいくつかの種類があります。主なものをいくつかご紹介します。
- 国会議員: 国の政治を行う「国会(こっかい)」で活動します。国民全体の代表として、法律を作ったり、国の予算を決めたり、内閣(ないかく)の仕事をチェックしたりします。衆議院議員(しゅうぎいんぎいん)と参議院議員(さんぎいんぎいん)がいます。
- 地方議会議員: 都道府県や市町村の「議会(ぎかい)」で活動します。地域住民の代表として、その地域に関する条例(じょうれい)を作ったり、自治体の予算を決めたり、自治体の活動をチェックしたりします。
- 首長(しゅちょう): 都道府県知事や市町村長など、地方自治体の行政(ぎょうせい)のトップです。議会が決めた予算や条例に基づいて、具体的なまちづくりやサービス提供などを進めます。
これらの政治家は、それぞれ異なる役割を持っていますが、共通しているのは、国民や住民の意思を政治に反映させるための重要な仕事をしているという点です。
どうやったら政治家になれるの?一般的なルートと必要なこと
政治家になるための「必須の資格」や「特定の大学を卒業しないといけない」といった決まりはありません。様々な経歴を持つ人々が政治家を目指しています。
政治家になるための最も一般的な道のりは、選挙に立候補(りっこうほ)して当選することです。
立候補するために必要なこと
立候補するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
- 年齢: それぞれの選挙によって立候補できる年齢が決まっています(例:衆議院議員は満25歳以上、参議院議員は満30歳以上、都道府県知事は満30歳以上、市町村長・市町村議会議員は満25歳以上など)。
- 被選挙権: 選挙の種類に応じた選挙区内に住所があることなどが必要です。
- 供託金(きょうたくきん): 真剣に選挙に取り組んでもらうために、立候補の際に一定のお金を法務局に預ける必要があります。これは、有効投票数の一定割合以上の票を獲得できなかった場合に、選挙運動に使われた公費(税金)の一部を負担するためのもので、いわば「売名行為などを防ぐための保証金」のようなものです。一定の票を獲得すれば返還されます。金額は選挙の種類によって異なります。
これら以外にも、細かい手続きや書類の提出が必要になりますが、基本的なステップは、これらの条件を満たした上で、選挙管理委員会に届け出て「立候補者」となることです。
政治家になるためのキャリア
政治家になる人々のキャリアは本当に多様です。
- 会社員、弁護士、医師、教員などの専門職
- 元官僚(かんりょう):国や地方自治体の職員として働いた経験を持つ人
- 地方議会議員や首長としての経験者:身近な政治からスタートする人
- 親などが政治家であるケース:いわゆる「世襲(せしゅう)」と言われるものですが、当選には当然本人の努力や能力、そして有権者の支持が必要です。
- NPOや市民活動のリーダー:社会課題の解決を目指す活動を経て政治を目指す人
重要なのは、特定のキャリアや学歴が有利に働くことはあっても、それが唯一の道ではないということです。社会経験や専門知識、そして何よりも「社会を良くしたい」という強い意志と、それを実現するための具体的な政策や考え方を持つことが重要です。
また、多くの政治家は、立候補するずっと前から、所属する政党(せいとう)の活動に参加したり、議員秘書として働いたり、地域でボランティア活動をしたりするなど、政治や社会との関わりを深めています。すぐに立候補するのではなく、まずは政治の世界に触れることから始める人も多いです。
政治家の普段の仕事内容
政治家の仕事は、国会や議会での議論や投票だけではありません。普段は様々な活動を行っています。
- 国会・議会での活動:
- 法律案や予算案について話し合う「審議(しんぎ)」に参加する。
- 専門分野ごとに分かれた「委員会(いいんかい)」で、より詳しく法案や政策について議論する。
- 本会議や委員会で、政府や自治体の活動について質問する。
- 法案や予算案に対する賛成・反対を「投票」する。
- 地元での活動:
- 自分の選挙区の住民の声を聞くための集会を開いたり、個別に面談したりする。
- 地域のお祭りやイベントに参加する。
- 住民からの「陳情(ちんじょう)」や相談に対応する。
- 地元の課題を解決するための活動を行う。
- 政策立案と調査:
- 自分が実現したい政策について勉強したり、専門家から話を聞いたり、実際に現場を訪れて調査したりする。
- 政策を実現するための具体的な計画を立て、関係各所と調整する。
- その他:
- 所属する政党内での会議や活動に参加する。
- 他の議員や専門家との勉強会に参加する。
- 視察(しさつ)として、国内外の取り組みを学ぶために現場を訪れる。
- 後援会(こうえんかい)活動など、次の選挙に向けた準備や支持者との関係づくりを行う。
政治家の仕事は非常に多岐にわたり、日々の活動時間は長く、責任も重大です。華やかなイメージを持たれることもありますが、実際には地道な調査や勉強、人との対話、そして多くの書類仕事なども含まれます。
まとめ
政治家は、私たちの社会をより良い方向へ導くために、選挙によって選ばれた私たちの代表です。特定の限られた人だけがなれる特別な職業ではなく、多様な経歴を持つ人々が、立候補し、選挙で選ばれることで政治家になります。
政治家の仕事は、国会や議会での議論だけでなく、地域での活動や政策の立案・調査など、多岐にわたります。彼らの活動を知ることは、私たちの暮らしと政治がどう繋がっているのかを理解する上で非常に重要です。
これから選挙を通じて政治に参加していく中で、どんな人が政治家を目指しているのか、どのような考えを持っているのかに関心を持つことは、誰に投票するかを決める上で役立つでしょう。政治家という存在を身近に感じ、彼らの活動に関心を持つことが、あなたの政治参加の一歩となることを願っています。
もし、政治家の仕事やキャリアについてさらに詳しく知りたい場合は、個別の政治家のプロフィールを調べたり、彼らの活動報告(ウェブサイトやSNSなどで公開されていることが多いです)を見てみたりするのも良いでしょう。