政治って遠い世界?いいえ、身近な暮らしと政治の関係
はじめに:政治は、どこか遠い場所の話ではない
初めて選挙権を得て、政治に少し関心を持ってみようかな、でも何から調べればいいのか分からないし、政治ってなんだか難しそう…と感じている方もいらっしゃるかもしれません。テレビのニュースで見聞きする政治の話題や、選挙のニュースは、まるで自分の生活とは切り離された、遠い世界の話のように思えることもあるかもしれません。
しかし、実は政治は、私たちの毎日の暮らしと深く結びついています。私たちが安心して暮らせるように、あるいはより良い生活を送れるように、政治の仕組みは様々な形で機能しています。この記事では、政治がどのように私たちの身近な生活に影響を与えているのかを、具体的な例を挙げながら、政治や選挙の知識が全くない方にも分かりやすく解説していきます。これを読めば、政治が少し身近に感じられるようになるはずです。
政治があなたの身近な生活に影響する具体的な例
では、政治がどのように私たちの暮らしに関わっているのか、いくつかの具体的な場面を見ていきましょう。
1. 教育:あなたが学ぶ環境や費用
あなたが通う学校の授業料や、奨学金制度の内容、学校で学ぶ教科の内容などは、国の教育政策や、学校を運営する地方自治体(都道府県や市区町村)の決定によって大きく影響を受けています。例えば、大学の学費支援制度が拡充されたり、高校の無償化の対象が広がったりするのも、政治の判断によるものです。学びたいと思ったときに、経済的な理由でそれが難しくならないように、どのような支援を行うべきか、といったことが政治の中で議論され、決められています。
2. 医療と福祉:病気になったときの安心や暮らしのサポート
もしあなたが病気や怪我をしたとき、病院で支払う医療費の一部を国や自治体が負担してくれるのは、「健康保険制度」があるからです。この制度は、政治によって作られ、運営されています。また、高齢者の方々が安心して暮らせるための介護サービスや、子育てをしている家庭への支援、障害のある方々へのサポートなども、国の社会保障政策や地方自治体の福祉サービスとして提供されています。これらの制度の内容や充実度は、政治の優先順位や予算配分によって変わってきます。
3. 交通やインフラ:移動手段や地域の環境
あなたが普段利用する電車やバスの運賃、道路の整備状況、公園や図書館といった公共施設の充実度なども、政治と無関係ではありません。これらは主に、皆さんが住んでいる地域の「地方自治体」が、地域の住民の生活を支えるために計画し、税金を使って整備・運営しています。新しい道路を作るのか、それとも公共交通機関を充実させるのか、地域の公園をもっと増やすべきか、といったことは、地方自治体の議会や首長が議論し、決定しています。
4. 働くこと:アルバイトの賃金や労働時間
もしあなたがアルバイトをする場合、「最低賃金」というものが法律で定められています。これは、労働者が安心して働けるように、国が定めている賃金の最低基準です。また、一日に働ける時間の上限や、休憩時間についても法律で定められています。これらの労働に関するルールも、政治によって作られ、改定されています。働く人々の権利や労働環境を守るために、どのような法律が必要か、といったことが政治の中で議論されています。
5. 環境問題:ゴミの分別やリサイクル、地球温暖化対策
私たちが日々出すゴミの分別方法や、リサイクルの仕組み、大気汚染や地球温暖化といった環境問題への対策も、政治によって推進されています。国は法律や国際的な取り決めを定め、地方自治体は具体的な収集方法や処理施設を整備したり、地域での環境保護活動を支援したりしています。きれいな空気や水、豊かな自然を守り、次の世代に引き継いでいくために、どのようなルールを作り、どのような取り組みを進めるべきか、ということも政治の重要な役割の一つです。
国の政治と地方の政治
ここで少し、「国の政治」と「地方の政治」について触れておきます。
- 国の政治(国政): 日本全体の法律や制度、外交、国の大きな予算の使い道などを決めます。国会議員(衆議院議員、参議院議員)や内閣(政府)が中心となって行われます。
- 地方の政治(地方政治): 皆さんが住んでいる都道府県や市区町村といった「地方自治体」で行われる政治です。国の法律や制度を踏まえつつ、その地域の実情に合わせて、道路や公園の整備、福祉サービス、ゴミ処理、学校教育など、より住民の生活に身近なサービスや環境整備について決定します。地方自治体の議員(都道府県議会議員、市区町村議会議員)や首長(知事、市町村長)が中心となって行われます。
どちらの政治も、私たちの身近な生活に深く関わっています。国の大きなルールが、地方の具体的なサービスに影響を与え、それが私たち一人ひとりの暮らしに繋がっているのです。
政治を知ることは、より良い暮らしへの第一歩
見てきたように、政治は教科書の中だけの話でも、ニュースの中の遠い出来事でもありません。私たちが毎日使う道、通う学校、利用する医療機関、働くときのルール、そして将来の地球環境まで、日々の生活のあらゆる場面に政治は関わっています。
選挙で誰を選ぶか、どのような政党や候補者がどのような政策(政治家や政党が実現しようとする具体的な計画や方針のことです)を掲げているのかを知り、あなたの考えに近い人に投票することは、これらの身近な生活の質に影響を与える可能性を持っています。
「どこから調べればいいか分からない」と感じたら、まずは皆さんが住んでいる市区町村のウェブサイトを見てみるのはいかがでしょうか。自治体の広報誌には、地域で行われている様々な取り組みや、住民向けのサービスについて書かれています。また、自治体の議会がどのようなことを話し合っているのかを知ることも、身近な政治に関心を持つきっかけになるでしょう。
政治を知ることは、決して難しいことばかりではありません。まずは、自分の暮らしに関わることから、少しずつ関心を持つことが、より良い社会、より良い暮らしにつながる第一歩となるはずです。