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日本の政治権力はどう分かれている?『三権分立』を分かりやすく解説

Tags: 三権分立, 政治の仕組み, 憲法, 民主主義

初めて政治や選挙について調べ始めた方のなかには、「政治権力って、一つの組織が全部握っているの?」といった疑問や漠然とした不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。権力がどこか一ヶ所に集中していると、それが間違った方向で使われたり、国民の権利が守られなくなったりする危険性があります。

日本の政治は、このような権力の集中を防ぎ、国民一人ひとりが安心して暮らせるように、ある重要な仕組みを取り入れています。それが「三権分立(さんけんぶんりつ)」という考え方です。この記事では、三権分立がどのような仕組みで、なぜ大切なのかを、政治に全く触れてこなかった方にも理解できるように丁寧に解説します。

三権分立とは何か

三権分立とは、国の持つ大きな権力(これを「国家権力」と呼びます)を、性質の異なる三つの部分に分け、それぞれを別の機関に担当させる仕組みのことです。これにより、一つの機関が暴走したり、権力を悪用したりすることを防ぎ、お互いがチェックし合うことでバランスを保っています。

三つの権力とは以下の通りです。

  1. 立法権(りっぽうけん):法律を作る権力
  2. 行政権(ぎょうせいけん):法律に基づいて政治を行う権力
  3. 司法権(しほうけん):法律に基づいて争いを解決したり、罪を裁いたりする権力

三つの権力を担当する機関

これらの三つの権力は、それぞれ別の機関が担当しています。

なぜ三権を分ける必要があるのか

権力を三つに分け、それぞれを異なる機関が担当することには、大きく分けて二つの重要な理由があります。

  1. 国民の権利や自由を守るため: もし法律を作る人、法律を実行する人、法律を解釈する人が同じだったらどうなるでしょうか。自分たちに都合の良い法律を作り、それを都合の良いように解釈して、私たち国民の権利を簡単に制限できてしまうかもしれません。三権分立は、このような権力の乱用を防ぎ、私たち一人ひとりの自由や権利が不当に奪われないように守るための仕組みです。
  2. 権力のバランスを保ち、間違いを防ぐため: それぞれの機関が独立して権力を持つことで、お互いの仕事ぶりをチェックし合うことができます。これにより、どれか一つの機関が独走したり、誤った判断をしたりする可能性を減らし、より公正で正しい政治が行われるように促します。

三権がお互いをチェックし合う仕組み

三権分立は、単に権力を三分割するだけでなく、それぞれの機関が互いに影響を与え合い、チェックする機能を持っていることが重要です。いくつか例をご紹介します。

このように、三つの機関はそれぞれ独立しながらも、様々な形で互いを 견제(けんせい:互いに張り合って相手の自由な行動を抑えること)し、バランスを保っています。

三権分立と私たちの暮らし

三権分立の仕組みは、一見難しく感じるかもしれませんが、私たちの普段の暮らしと深く繋がっています。例えば、あなたが安全に暮らせるように犯罪を取り締まる法律があるのは国会(立法)が作ったからです。その法律に基づいて警察が治安を維持したり、行政サービスを受けられたりするのは内閣(行政)が働いているからです。そして、もし誰かとトラブルになったり、国や自治体の行為で不当な扱いを受けたと感じたりした場合に、公正な解決を求めることができるのは裁判所(司法)があるからです。

このように、三権分立は、私たちの権利や自由が守られ、社会の秩序が保たれるための、民主主義国家にとって非常に重要な土台となる考え方なのです。

まとめ

この記事では、日本の政治における三権分立の基本的な仕組みと、それがなぜ重要なのかを解説しました。

初めて政治の仕組みに触れる方にとって、三権分立は少し複雑に感じられるかもしれません。しかし、この仕組みがあるからこそ、私たちの社会は比較的安定し、国民一人ひとりの声が尊重される余地が生まれています。

もし、さらに詳しく知りたいと思った場合は、日本の憲法に三権分立のことが定められていますので、そちらを読んでみるのも良いでしょう。また、国会や内閣、裁判所といった機関のウェブサイトでも、それぞれの役割について情報が公開されています。政治の仕組みを知ることは、あなたがこれからの社会でどのように政治に関わっていくかを考える上での大切な一歩となるはずです。