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初めての選挙、誰がどうやって当選する?仕組みを解説

Tags: 選挙, 当選, 選挙の仕組み, 投票

選挙で投票したあと、あなたの1票はどこへ行くのでしょうか

初めて選挙に行ったとき、「投票箱に入れたこの紙きれが、どうやって社会を動かす人を選ぶことにつながるのだろう」と、少し不思議に思われた方もいらっしゃるかもしれません。あるいは、テレビのニュースで見る選挙特番で、「当選確実」の候補者が決まっていく様子を見て、「どういう基準で当選が決まるのだろう」と疑問に感じた方もいるでしょう。

この疑問に答えるために、本日は選挙で投じられた票が、どのように集計され、誰が当選するのか、その基本的な仕組みについて分かりやすく解説いたします。仕組みを知ることで、あなたの1票が持つ意味や、選挙というものがどのように成り立っているのかが、より具体的に見えてくるはずです。

投票から開票、そして当選者決定までの流れ

あなたが投票所で投票用紙に記入し、投票箱に入れた後、その票は厳重に管理され、定められた場所(多くの場合、市町村の体育館や集会所など)に集められます。この集められた票を数える作業を「開票」といいます。

開票は、選挙管理委員会の職員や、立ち会いを許された人々の前で、公正に行われます。たくさんの票が運び込まれ、一つ一つ有効な票かどうかを確認しながら数えられます。間違った書き方をした票や、どの候補者・政党に投票したか分からない票は「無効票」として扱われます。有効な票だけが、候補者別や政党別に仕分けられて集計されます。

この集計された「得票数」(獲得した有効な票の数)が、当選者を決めるための最も重要な情報となります。

選挙の種類による当選の仕組みの違い

一口に選挙といっても、国会議員を選ぶ選挙(衆議院議員選挙、参議院議員選挙)や、地方の代表者を選ぶ選挙(都道府県知事選挙、都道府県議会議員選挙、市区町村長選挙、市区町村議会議員選挙)など、いくつかの種類があります。そして、それぞれの選挙には、当選者を決めるための「選挙制度」が定められており、その仕組みは少しずつ異なります。

ここでは、代表的な選挙制度である「小選挙区制」と「比例代表制」、そして地方選挙などで多く用いられる「大選挙区制」の基本的な考え方をご紹介します。

小選挙区制(主に衆議院議員選挙)

これは、一つの選挙区(例えば、ある県をいくつかの地域に分けたうちの一つ)から、たった一人だけの当選者を選ぶ仕組みです。

考え方は非常にシンプルです。その選挙区に立候補した候補者の中で、最も多くの有効な票を獲得した候補者一人が当選となります。2番目に多かった候補者は、たとえ僅差であっても当選できません。

この仕組みのメリットは、選挙区の代表が明確になり、選挙結果が分かりやすい点にあると言われます。一方で、死票(当選者以外の候補者に投じられた票)が多くなりやすいという側面もあります。

比例代表制(主に衆議院議員選挙、参議院議員選挙)

こちらは小選挙区制とは異なり、政党に投じられた票の割合に応じて、各政党に国会での議席(当選者の数)を配分する仕組みです。

有権者は、候補者個人ではなく、応援する「政党名」を投票用紙に書くことで投票します(参議院の比例代表制では候補者個人名を書くこともできます)。全国(またはブロック)で集計された政党ごとの得票率に応じて、それぞれの政党が獲得できる議席数が計算されます。

例えば、ある政党が全体の票の30%を獲得したら、比例代表で争われる議席の約30%を獲得できる、といったイメージです。そして、各政党は、あらかじめ国に届け出ている「候補者名簿」の上位に載っている候補者や、個人名での得票が多かった候補者から順に当選者として決定します。

この仕組みは、様々な政党に議席が行き渡りやすく、国民の多様な意見が国会に反映されやすいと言われています。

大選挙区制(主に参議院議員選挙、地方議会議員選挙)

大選挙区制は、一つの選挙区から二人以上の当選者を選ぶ仕組みです。

例えば、ある都道府県全体を一つの選挙区として、そこから複数人の議員を選ぶような場合です。この場合、選挙区内で立候補した候補者の中から、得票数の多い順に、選挙区の定数(何人当選させるかという数)だけ当選者が決まります。

例えば、定数が5人の選挙区であれば、立候補者の中で得票数が1位から5位までの候補者が当選となります。

この仕組みは、小選挙区制に比べて死票が少なくなる傾向がある一方、同じ選挙区から同じ政党の候補者が複数当選することもあり得ます。

あなたの1票が当選に与える影響

これらの仕組みを知ると、あなたの投じた1票が、特定の候補者や政党の得票数として数えられ、それが当選者を決める計算に影響を与えることが分かります。特に、小選挙区制のような僅差になりやすい選挙では、たった1票が当選を左右することさえあります。

また、比例代表制においては、個々の票が政党の獲得議席数に直接影響するため、あなたの応援する政党がどれだけ議席を獲得できるかに貢献することになります。

まとめ

選挙における当選の仕組みは、選挙の種類によって異なりますが、基本的には投じられた有効な票を集計し、その得票数に基づいて当選者が決定されます。小選挙区制では最も票を得た一人が、比例代表制では政党の得票率に応じて議席が配分され、大選挙区制では定数まで得票数の多い順に当選します。

初めての選挙で投票する際、どのような仕組みで当選者が決まるのかを知っておくことは、あなたの1票がどのように活かされるのかを理解する上で役立ちます。

もし、特定の選挙制度についてさらに詳しく知りたい場合や、ご自身の投票した選挙区や選挙の種類がどのような仕組みになっているか確認したい場合は、お住まいの市区町村の選挙管理委員会のウェブサイトや、総務省の選挙に関する情報をまとめたページなどを参照することをおすすめいたします。そこには、より詳細な情報や、各選挙の具体的な仕組みについて解説が掲載されていることがあります。